適切なエネルギー補給がマラソン大会完走へのカギ




遅ればせながら、新年あけましておめでとうございます。本年も宜しくお願い致します。
今年もちょっとづつでも猛進していきたいと思います。

さて、新しい年を迎え、いよいよ本格的なマラソンシーズンに突入、これから大小合わせ多くのマラソンイベントが目白押しです。都内では東京マラソンがありますね。応募当選した方にはぜひ完走して頂きたいと心より願っております。

幸運にも当選した方は日頃の成果を思う存分発揮し、より良いタイムが出るように頑張って頂きたいです。また、初めて大会に参加するデビューランナーの方には、まずは完走して頂きたいという願いを込めつつ、今回は完走の鍵となる上手なエネルギー補給についてお話させて頂きます。意外とマラソン大会のエネルギー補給まで考えていない方が多いです。完走にあたりとても重要なポイントなのでぜひ最後までお付き合い下さい。

目次

■体内のエネルギー

私たちのカラダは体外から摂りいれた食物などを消化・吸収することで、糖質、脂質、たんぱく質を作り出し、そこからエネルギーを供給しています。よく皆さんから、運動のエネルギーは最初に糖質が使われ、全ての糖質が消費されてしまうと次に脂肪が使われ、最後にたんぱく質が利用されるのではないかと質問されます。確かに運動のエネルギー源は糖質が先導します。正確には糖質も脂肪も常にエネルギーとして消費されています。この糖質と脂肪のバランスは運動の強度によって変わり、軽い運動では糖質と脂質が動きに見合った比率で消費されていますが、マラソンの様な激しい運動時になると糖質が消費エネルギーの中心となります。また非常に強度が高い運動が続いた場合は糖質だけではなく、たんぱく質もエネルギーとして消費されてしまいます。つまり、糖質はマラソン時のエネルギー源として欠かせないとう事になります。ちなみに100%脂肪がエネルギーとして利用される事はないので覚えておいて下さい。

話が少しそれますが、よくダイエットの目的で過度に糖質をカットする食生活をしている方がいます。これは太る主な原因となる糖質をカットするという目的がありますが、身体に糖質がなくなれば脂肪をエネルギーとして消費してくれるので痩せるだろうという考える方も多いと思います。しかし、先程もお話しした通り糖質をカットしたからといって脂肪が100%エネルギー源として使われる事はありませんし、健康的な生活を送ることや上手に減量する事を考えたら、ダイエットの場合でも適度な糖質の摂取は必要です。ある程度の糖質が身体にある事で脂肪も上手に燃焼されるので、糖質をすべてカットするのではなく、必要最低限の量はしっかり補給することを忘れないで下さい。

 

■エネルギー補給サプリの重要性

マラソン大会に出場するにあたり最も重要な栄養素は糖質です。つまり、糖質が不足した状態でマラソン大会に挑むのはリスクが伴うという事です。それは糖質が運動の主なエネルギー源だからです。食事などで摂取した糖質は体内で分解され一定量が血液中の糖つまり血糖となり、それ以外は筋肉や肝臓でグリコーゲンとして貯蔵されます。しかし、残念な事に筋肉や肝臓にグリコーゲンを蓄えておく貯蔵庫は非常に小さく、筋肉と肝臓を合わせても400~500gぐらいです(体格によって前後します)。糖1gあたりのエネルギーは4kcalなので、体内にストック出来る糖のエネルギー量は1600~2000kcalということになります。

体重60kgの方がフルマラソンをすると、消費するカロリー量は約2,500kcalと言われています。これは、成人男性が1日に必要なエネルギー量に当たります。短時間にこれだけのエネルギーを消費するとなると、先程お話しした体内にストック出来る糖のエネルギー量だけではカバーしきれません。という事は小まめなエネルギー補給が必要になってくるのです。しかし、途中でご飯を食べる事など出来ませんし、改めて体内にエネルギーをチャージするにはある程度の時間が掛かります。となると、選手は走りながらでもエネルギーを補給する必要があります。

そこで、手軽に走りながらエネルギー補給をするアイテムとして「エネルギー補給サプリ」が有効というわけです。また、脳のエネルギーはブドウ糖のみです。脳のエネルギーが枯渇してくると血糖値が下がり頭もボーっとしてくるので、走る気力をも失っていきます。つまり、身体と脳には常に一定のエネルギーが必要という事になります。

ちなみに、脂肪1gあたりのエネルギーは9kcalと糖の倍以上あるうえ、身体中に何キロもストックされているのでエネルギー源としては優れていますが、この脂肪をエネルギーとして効率よく利用するには前出でお話しした運動強度などに左右されるのでちょっとしたトレーニングが必要になります。しかしながら、この脂肪も上手に使えば大きなエネルギー源としても利用出来るのです。

 

■エネルギーサプリメントの摂り方

「そんなにエネルギー補給が大切ならぜひ摂りましょう」といって闇雲に飲んでも勿体ないだけです。マラソン時のエネルギー補給には効果をより実感する為のタイミングがあります。同じ様にエネルギー補給をする場合でも、そのタイミングによりあまり効果を実感出来なかったり、逆にマイナス面を引き出す場合もあるので注意が必要です。

その前に、「エネルギー補給サプリ」とはどの様なものか皆さんはご存じでしょうか?一般的によく使われているのが「エナジージェル」などの愛称で親しまれている、片手に収まる程度の大きさにパウチされた水飴状のサプリメントです。この中にはエネルギーの素となる糖質と汗で失われる塩分などのミネラルが入っています。使われている糖質の多くは吸収の早いデキストリンなどですが、メーカーや商品のこだわりによって1~5種類と異なる場合もあります。また、使われている糖質の種類によって吸収の速さも変わるので、メーカーにより吸収の速さにこだわった商品や長時間持続する様に複数の糖質を混ぜたモノなど種類は様々です。

中にはカフェインを配合することで、カフェインの覚醒作用によりレース後半に起こる集中力の低下を防ぐ商品も販売されています。このカフェイン配合の商品については、レース後半の以降に使う事をおすすめします。

では、どんなタイミングでエネルギー補給サプリを使うのが一番良いのでしょうか?それは、30分や1時間毎または、5~10km毎というように、疲れているかいないかは関係なく決まったペースで定期的に補給する事、これが一番効果的な摂り方です。しかし、多くの皆さんは「そろそろ疲れてきたからエネルギーを補給しようかな」というタイミングで使われていますが、実はこれが一番ダメな摂り方なのです。つまり「疲れたな」と感じるタイミングで飲んでもそれは既に遅いのです。しかしながら、フルマラソンはとても激しい運動ですから「常に疲れたな」と感じているはずです。ですから、一口に疲れる前にというのは難しいのですが「そろそろ本当に辛いぞ」と感じるタイミングでは遅いという事です。

その為の予防としても、「疲れた」「疲れていない」のタイミングではなく、あらかじめ一定の時間や距離を決めて、決まったタイミングで摂れば「摂り遅れの失敗」は防ぐ事が出来るはずです。これは、レース中の水分補給でも言える事で「喉が渇いた」と感じる前に水分補給をすれば脱水症状を防ぐ事にも繋がります。レース中は皆さん走ることに必死なので、つい水分補給やエネルギー補給を怠りがちになりますが、命の危険にも繋がる事ですので、必ず早め早めの摂取を心掛けましょう。またエネルギー補給の時には水分補給も、水分補給の時にはエネルギー補給もと、「エネルギー補給」&「水分補給」は常にセットで行う様にすれば、どちらも摂り遅れる失敗を防げるでしょう。

但し、一つだけ注意して頂きたいのは、本当に疲れてしまっている状態の時に、吸収の早いブドウ糖などを一気に補給してしまうと逆に低血糖を招く恐れがあります。人間の身体は血糖値が上がるとそれを下げようとインスリンを分泌します。つまり非常に疲れた状態の時に吸収の早いブドウ糖などを一度に大量摂取すると、それまで低血糖だった身体に一気に糖が摂り入れられ血糖値が急激に上昇します。すると身体は血糖値を下げようと大量のインスリンを分泌します。しかし、この血糖値を下げるコントロールが暴走すると必要以上に血糖値を下げてしまい、いま糖を補給したばかりなのに逆に低血糖を起こす事に繋がります。その為にも、こまめに糖質補給をして常に安定した血糖値を保つのが理想なのです。

■糖質にプラスαでさらに回復を

ここまで、糖質についてお話してきましたが、最後にさらに完走や記録アップに近づけるプラスαのアイテムを紹介しておきます。それが「アミノ酸」です。その中でも特に重要なのが「BCAA」とよばれるアミノ酸なのです。皆さんもご存じの手軽に買える商品では、味の素「アミノバイタル」やシトリック「アルティメイトエボリューション」などが有名です。

BCAAは筋肉を構成するアミノ酸の一つですが、運動時のエネルギー源としても利用されるので、運動前にしっかり補給しておくことで運動中のパフォーマンスアップに繋がります。また、激しい運動では筋肉の分解も起こりやすいので、これを防ぐ役目や翌日の疲労を軽減してくれるといった効果も期待できます。他にも、長時間の運動により血中のBCAA濃度が低下してくると、脳内に疲労物質が増加し疲労感が増すと共に、集中力も低下してくると言われています。そこで、レースの前や中盤のエネルギー補給と一緒にBCAAをしっかり補給してあげることで、疲労感が軽減でき集中力がアップするので最高のパフォーマンスが可能になるのです。

さらに具体的なサプリメントの説明や使用参考例などを紹介した記事を昨年ブログで紹介したので、そちらも併せてぜひお読みください。

マラソン大会完走のために絶対必要なサプリメントと摂取タイミング

皆様の完走と記録向上を願って私も応援しています。
頑張って下さい!🏃✊

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臼井

臼井

スポーツ専門学校在籍中に、㈱ゴールドウィン・スポーツサポートのクロストレーナー養成機関に参加しその後入社。スポーツクラブやスポーツ施設、ホテルなどでトレーニング、エアロビクス、アクアエクササイズ、スイミングの指導を行い、現在はフィットネスアドバイザーとしてトレーニングやエクササイズ、栄養学、サービスなどの指導、教育を行う。 ■フィットネストレーナー ■JNF公認サプリメントアドバイザー ■米国ISNF公認サプリメントアドバイザー ■(社)全日本ノルディックウォーク連盟  ノルディックウォーク公認指導員






3 件のコメント

  • 臼井様

    初めまして。ブログとても勉強になります。子供の事でご相談させてください。この春から中学生になる息子がいるのですが、小学生からずっとサッカーをしております。本人はプロを目指して本気で取り組んでいます。ですが両親とも身長が低く私が166cm、妻が150cmで息子の身長が心配です。少しでも何かできないかと毎日のトレーニング後にザバスのジュニアプロテインを飲んでいます。運動、睡眠、栄養を意識してここまできました。今の時点で150cmの息子です。で、臼井様に是非アドバイスいただきたいのはこの春から中学にあがるタイミングでトレーニング後に摂取する際にどんなプロテインに変えればいいかを教えていただきたいです。できれば具体的にメーカーと商品名をアドバイスいただけるととてもありがたいです。お忙しい中申し訳ございません。どうぞ宜しくお願い致します。

    • 清水様 

      ブログをご覧頂きありがとうございます。

      確かに、この年代のお子様を持つ親御さまがご心配になる項目の一つに挙げられますね。
      私もこの分野に関して詳しいとは言えませんが、以前、健康体力研究所を設立した野沢秀雄氏の「カラダを大きくする」という本を読んだ時に、身長が伸びるメカニズムには骨が重要な鍵を握っていると書かれていました。その骨の中でも伸びやすいのが脚や腕にある「長骨」で、大腿骨、ひ骨、脛骨、上腕骨、前腕骨などがそれにあたります。この長骨の内部にある「骨端軟骨」は成長期の間だけ存在し、細胞分裂が盛んでこの部分が活発に増殖する事で骨全体がグングン伸びていくそうです。骨端軟骨は時間の経過とともに普通の固い骨組織になってしまうそうですが、その境界線に「骨端線」という線があり、その骨端線が存在する間は成長が続き身長も伸びますが、骨端線が見られなくなれば成長は終わるとの事です。大抵は17歳を過ぎると薄くなり成人すると見えなくなる様です。

      それを踏まえた上で考えると、身長を伸ばすカギとなる骨の成長にはカルシウムも必要ですがたんぱく質も重要な栄養成分になります。骨の主成分はカルシウムですが他にもコラーゲンなどたんぱく質も多く存在しています。その為、カルシウム以外にたんぱく質やビタミンも重要な栄養素になります。また、たんぱく質は筋肉、皮膚、髪や臓器はもちろん血液やホルモンなどカラダづくりに欠かせない栄養素です。特に激しい運動をしている方の場合は十分な摂取が必要です。

      現在、ジュニアプロテインを飲まれているという事ですが、ジュニアプロテインは一般的なプロテインとは違いプロテイン以外の成長期に必要な栄養素が強化配合されています。逆に言えば、カルシウムやビタミンD、マグネシウムなどの骨の形成に必要な栄養素が一般的なプロテインと違い強化されていますがたんぱく質は少なめです。
      一般的な小学生のお子様であれば、この様なジュニアプロテインでも十分ではありますが、お話ではプロのサッカー選手を目指し日々練習をされている様なので、今後中学生になればさらにハードな練習になり運動量も増えるはずです。当然、筋肉への刺激も増え、身体づくりの為にもさらに多くのたんぱく質が必要になってくるので、現在のジュニアプロテインだけでは必要なたんぱく質も不足してくるかもしれません。当然、食事からしっかりたんぱく質が摂れれば問題ありませんが、毎日たんぱく質が豊富なメニューを考える方の負担を考えると、中学生を期に一般的なプロテインに切り替えるのも一つの案かと思います。

      一般的なプロテインにはジュニアプロテインの倍近くのたんぱく質が配合されています。そう言った事では有効かもしれません。しかし、ジュニアプロテインに配合されていた成長期に必要なカルシウムやビタミンなどが少なくなってしまうので、そこは別の方法で補給するしかありません。

      そこで、私のおすすめは毎日のジュニアプロテインはそのまま飲み続け、追加で一般的なプロテインをプラスする事です。
      追加の方法は、朝食時などにジュニアプロテインを飲み、練習後や寝る前に一般的なプロテインを飲むのはどうでしょう。また、味が同じであればジュニアプロテインに一般的なプロテインを少量混ぜてたんぱく質の含有量を増やしてあげても良いと思います。どちらをとっても、たんぱく質補給と成長期に必要な栄養素の強化には繋がります。

      一般的なプロテインのおすすめとして、ザバスであれば「ホエイプロテイン100」 kentai(健康体力研究所)でしたら「パワーボディー100%ホエイプロテイン」がおすすめです。ホエイプロテインは牛乳由来のプロテインで水でも美味しく溶けやすいのが特徴で、どちらのプロテインも一食で15g前後のたんぱく質の補給が可能です。味はお好きなもので構いません。

      プロテインを飲むと身長が伸びなくなるというのは、一昔前の都市伝説です。安心してお飲みください。

      カラダが成長する為には【運動】【栄養】【睡眠】の三要素が重要です。
      現在サッカーをしているという事なので、【運動】については問題なさそうですね。骨に対して上下から縦方向に刺激を与えると先端部分が刺激され細胞分裂が活発になるそうなので、色んな運動にチャレンジして下さい。【栄養】はバランスの良い食生活を心がけ、不足しているところはサプリメントなどで補給して下さい。また、激しい運動時にはエネルギーの消費量も尋常ではありません。消費したエネルギーはしっかり補給して下さい。筋肉の合成にはたんぱく質の補給と同時に炭水化物(糖質)の補給も重要です。最後に【睡眠】です。「寝る子は育つ」と言いますが、寝ている時に身体づくりに重要な「成長ホルモン」が大量に分泌されます。特に成長ホルモンの分泌が盛んになるのが入眠時からの約2時間とその後1時間半ごとにやってくる深い眠りのノンレム睡眠時です。十分な睡眠はカラダを成長させ翌日に疲れを持ち越さない為の鍵にもなるのでグッスリ眠れる睡眠環境も重要です。

      ぜひお子様が世界で活躍できる選手になれるよう私も応援しております。
      また冒頭で私が触れた本 野沢秀雄著の「カラダを大きくする」には身長に関する面白いお話も書かれていますので興味があればお読みください。

      アドバイザー 臼井

      • 臼井様

        お忙しい中、こうして親身にアドバイスいただきとても感謝しております。ありがとうございます。早速息子に伝えました。息子も臼井様からの運動、栄養、睡眠のお話を熟読しておりました。沢山のネット情報がありますが、臼井様からのピンポイントのアドバイスがとても勉強になりました。改めてありがとうございました。ジュニアプロテインに一般用プロテインを混ぜてみるお話し。目から鱗でした。早速試させていただきますね。今まで臼井様のブログを拝見させていただきお一人お一人に丁寧に心を込めて綴られているお姿に、この方なら!と思いメッセージを送らせていただきました。こんな私と息子にも丁寧に親身に相談にのってくださり本当にありがとうございました。一度しかない人生、息子には全力で夢にむかって勝負してほしいなと思います。臼井様のアドバイスをしっかり頭において引き続き親子共々頑張ります。時間をとっていただき本当にありがとうございました。失礼します。

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    臼井

    スポーツ専門学校在籍中に、㈱ゴールドウィン・スポーツサポートのクロストレーナー養成機関に参加しその後入社。スポーツクラブやスポーツ施設、ホテルなどでトレーニング、エアロビクス、アクアエクササイズ、スイミングの指導を行い、現在はフィットネスアドバイザーとしてトレーニングやエクササイズ、栄養学、サービスなどの指導、教育を行う。 ■フィットネストレーナー ■JNF公認サプリメントアドバイザー ■米国ISNF公認サプリメントアドバイザー ■(社)全日本ノルディックウォーク連盟  ノルディックウォーク公認指導員