体脂肪を正しく分解する「皮下脂肪」と「内臓脂肪」とは




スポーツジムに入会するとまず初回のオリエンテーションで行うのが「体組成計」での身体の測定ではないでしょうか。「体組成計」とは下腿および手のひら、もしくはその両方の電極から体内に微弱の電流を流し、現在の身体の「筋肉量」や「体脂肪率」などを測定する機器です。近年では一般家庭でも手軽にスキャン出来るものもありますが、こうしたスポーツクラブなどで使用している機器はさらに細かい数値まで調べる事が出来る本格的な物です。私もジムのトレーナーとして仕事をしているので、ご入会された会員の方には初回のオリエンテーションでカウンセリングを行いその際に体組成計で身体の中を観させて頂いております。

そこで最近思う事は、見た目そんなに太っている訳ではないのに、体脂肪率が異常に高い方が多いということです。もちろん中高年の方については年齢から考えてもさほど驚きもしませんが、近年では10代~20代前半の方の体脂肪率の数値が異常に高い方も多く驚いております。人によっては細身でどちらかと言えば「スリム」に分類される様な人でも体脂肪率が高い場合があります。これは何故でしょう。

そこで今回は、体脂肪についてお話ししたと思います。


【若かりし頃のわたくし臼井】

お正月に食っちゃ寝・食っちゃ寝の毎日を過ごし、ゴロゴロしていたら1週間で体重が2kgも増えてしまったという方も多いのではないでしょうか?そんな方も含め、最近お腹周りの脂肪が気になるという方は、ぜひ最後までお付き合いください。

❑脂肪の種類

体脂肪と聞くと身体に不必要な邪魔なものという印象が強いと思いますが、本当は身体にとって大切な役割があります。それは、カラダを動かす為のエネルギーを蓄えるタンクであり、体温を逃がさないための断熱材の役目もしますし、外部からの衝撃から身体を守るためのクッション材といった機能も兼ね備えているのです。しかしながら、過剰に付き過ぎてしまうとカラダに必要な脂肪も不必要な邪魔者になってしますのです。

そして、一口に体脂肪といっても4つのタイプに分かれています。ここではこの4つの体脂肪がそれぞれどんなものなのかを説明します。また、過剰に増えてしまうと身体にどんな悪影響を及ぼすのでしょうか。

❑皮下脂肪

 

皮下脂肪とはお腹周りや二の腕など皆さんの目でも確認できる最も馴染みのある体脂肪ではないでしょうか。一般的に太ったとか痩せたという目安に使われるのもこの皮下脂肪です。皮下脂肪とは皮下つまり皮膚の下に広がる脂肪組織のことです。指で摘まむことが出来るので、皮下脂肪が増えたり減ったりするのも簡単に確認ができるので、比較的自己管理もしやすいのが特徴です。

皮下脂肪にはエネルギーの貯蔵庫としての役目や体温を逃さない断熱材としての役割があります。また、カラダ周りに付いていることで転んだりぶつけたりした時にクッション材の様に外部からの衝撃を緩和し身体を守る役割もあります。

女性は女性ホルモンであるエストロゲンの影響により体脂肪を皮下に誘導する働きがあるため、男性に比べ皮下脂肪を貯めやすいといった特徴があります。男性に比べ女性のカラダが丸みをおび柔らかいのもこの為だといえるでしょう。

❑内臓脂肪

 

内臓脂肪とはお腹の内部で腸などの消化官を固定する腸間膜の周囲につく脂肪組織のことです。皮下脂肪が増えすぎ溜められなくなった体脂肪が内臓周りに溢れ付いてしまったものと言えばわかりやすいでしょうか。痩せているのに体脂肪率が高い方はこの内臓脂肪型肥満の恐れがあります。

皮下脂肪と違い容易に目で確認できないので、自分自身で多いのか少ないのかが確認しづらい脂肪でもあります。

一般的にメタボ(メタボリックシンドローム)と言われるのがこの内臓脂肪型肥満の事で、腹部を輪切りにし目視できるCT画像で内臓脂肪の面積が100㎡を超えた場合メタボと判定されます。またCT以外でも簡易的な測定方法として、ヘソの高さで測る腹囲が男性で85㎝以上、女性では90㎝を超えると内蔵型肥満と判定されます。

内臓脂肪が増えメタボと判定されるとどのようなリスクがあるのでしょうか。例えば、心臓病や脳卒中などの発生率や死因が増えたり、血圧、血糖値、脂質代謝の異常から動脈硬化などを起こしやすくなったりと、内臓脂肪が増えることは皮下脂肪型の肥満よりも重大といえます。

❑異所性脂肪

 

内臓脂肪のなかでも最も質の悪い脂肪がこの異所性脂肪です。異所性脂肪とは皮下や内臓といった貯蔵タンクに溜めきれなくなった皮下脂肪や内臓脂肪が、本来は脂肪の貯蔵庫として使用されることのない肝臓や筋肉など文字通り「異所」に溜り健康被害のリスクを大幅に増やすものです。皮下脂肪や内臓脂肪の増加は健康被害を脅かす悪者に間違いありませんが、異所性脂肪はそれらをはるかに上回るリスクがあるので最も注意しなければなりません。

❑褐色脂肪細胞

 

同じ脂肪でも今までの3つとは対照的なのが「褐色脂肪細胞」です。身体に溜めこんで増加していく皮下脂肪や内臓脂肪とは対照的に体脂肪を分解し熱に変えてくれるのが褐色脂肪細胞です。ちなみに、皮下脂肪や内臓脂肪は「白色脂肪細胞」に分類されます。褐色脂肪細胞は赤ちゃんの時には数多く存在しております。赤ちゃんは生まれてくるまでお母さんの体内で一定温度に保たれていますが、生まれたと同時に外気に触れるようになります。その為、体温が急激に下がらないようたくさんの褐色脂肪細胞で白色脂肪細胞(皮下脂肪や内臓脂肪)を燃やす事で熱を生産し高い体温を保つことが出来るのです。しかし、成長とともに体温調節機能が発達する事で褐色脂肪細胞は徐々に減少してくるのです。とは言っても、大人になっても褐色脂肪細胞は存在します。主には首・肩・鎖骨や肩甲骨周辺に多く存在しこれらの褐色脂肪細胞を活性化することで熱生産が増え脂肪が燃えやすくなるのです。

❑脂肪を落とす

 

ここまで脂肪についてお話ししてきましたが、脂肪はエネルギーの貯蔵庫だったり、体温を一定に保つ断熱材的な役割や外部からの衝撃吸収材として身体に必要不可欠なものである事は確かですが、皮下脂肪や内臓脂肪共に増えすぎてしまえば健康被害に及ぶという事は理解して頂けたでしょうか。そして、健康を蝕む恐れがあるとなれば何としてでも落とす必要があります。でも、脂肪を落とすとなるとそれなりの努力も必要です。現に今現在ダイエットをしているけれどなかなか痩せない・・・と言っている方もたくさんいると思います。確かに醜くお腹に付いた「皮下脂肪」は思ったほど簡単に落ちていかないかもしれませんが、「内臓脂肪」や「異所性脂肪」は意外と簡単に落ちるのです。それもちょっとした食事制限や軽い運動で「異所性脂肪」→「内臓脂肪」→「皮下脂肪」といった順のカラダに害のある所から先に落ちていくのです。そこで、今の食生活や生活習慣を少し見直してみませんか。ほんの少しの努力とちょっとした生活習慣の見直しができれば案外早く落とせるのです。

❑生活習慣の見直し

 

どうして太るのか?とうい最も当たり前の事をもう一度考えてみましょう。

太る原因それは一つしかありません。私もいつも言っていますが太る原因は【摂取カロリー>消費カロリー】の一言に尽きます。つまり、「食べたなら動け」「動かないなら食べるな」という事です。どんなに太った人でも摂取カロリー以上に動いて消費カロリーが上回れば絶対に痩せていきます。

例えば、内臓脂肪を貯めやすい生活として挙げられるのが夜型の生活です。遅くまで起きている事で必要のない食べ物を口にしてしまう機会が多くなります。すると必然的に摂取量が増え太りやすい体質になってしまいます。また、暇さえあればスマホでSNSやゲームをしている人も多いのではないでしょうか。休みの日でも家にいてゲームばかりしていたりすると当然の事ですが活動量が減ってしまいます。活動量が減るという事は消費するエネルギーが少なくなるので、摂取した消費カロリー以上に動くことが出来ないため太りやすい体質になります。そこで、この悪循環の生活リズムを変える事で、脂肪を溜めにくい生活サイクルを手に入れる事が出来ます。規則正しい生活や適度な活動(運動)が脂肪を減らす第一歩です。

❑ながら運動(行動)を実行しよう

 

これは、運動というよりも普段の何気ない行動の中でカラダを使う機会を増やす事です。例えば、電車に乗ったら席が空いていても座らないとか、いつもならエスカレーターで上がる所を階段を使うといった様に、普段の生活の中で少しだけ運動要素を取り入れてみるのです。また、いつもより遠くのスーパーまで歩いて買い物に行ったり、最寄り駅の一つ手前で降りて家まで歩くなど意識して運動量を増やす事で脂肪燃焼効果を高めるのです。

毎日の小さな積み重ねが大きな一歩となるのです。何より、意識的に日々の活動量を少しでも増やして行くことが重要です。最初は毎日というより一週間単位の大きな括りの中で実行してみます。例えば、昨日あまり動かなかったから今日は少し頑張って遠回りして歩いてみるなど、一週間の中でプラスとマイナスの調整をするのです。また、階段を使う事も立派な筋トレになります。筋肉にいつもより大きな負荷を与える事で筋肉は成長し増えていきます。筋肉が増えれば基礎代謝が増えるので必然的に消費するカロリー量が増えます。消費カロリーが増えれば摂取したカロリーを燃焼する量が増える訳ですから痩せる要因が増えます。まずは身近な行動を運動に変えてみる事をおすすめします。

❑運動をする

 

これが一番の難題かもしれません。しかし、一番大きな効果があります。運動と言っても走ったり、長い時間行ったりする必要はありません。一日10~20分ウォーキングするだけでも違います。まずはここからスタートしてみましょう。10~20分のウォーキングに慣れてきたら、今度は少しだけ早歩きで歩いてみます。決して走らなくて構いません。むしろ走るより少し息が上がる程度の早歩きが最も脂肪燃焼を促進し効果的なダイエットに導きます。

脂肪を燃焼するためにはたくさんの酸素が必要になります。しかし闇雲に走って息がゼーゼーハーハーする様な強度の高いランニングはたくさんの酸素を体内に取り込む事が難しいので脂肪も燃焼しにくくなります。いま溜め込んでいる脂肪を効率よく消費したいのであれば、少し息が上がりドキドキするけど、横にいる人と会話が出来るくらいの強度で歩く。つまり早歩きが最も脂肪燃焼には効果的なのです。もちろん心肺機能が強く走っても会話が出来るようであればランニングでも効果はあります。

 

運動は無理をするから続かないのです。最初はカラダを慣らす目的で週に1~2回から始めるだけでも十分です。それが習慣になってきて、目に見えるような効果も実感できれば自然と週に2~3回と増えていくものです。

今日は面倒だな~と思ったら5分だけ外に出てみて下さい。一歩外に出てしまえば、5分も10分も歩くことは変わらないので何となく続けてしまうものです。辛いのは最初だけ。ちょっと散歩するつもりで歩いてみませんか。何か新しい発見や出会いがあるかもしれません。

 

※以前書いたブログで「ランニングとウォーキング痩せるのはどっち?」の記事です。宜しければ参考までにお読みください。

❑番外編…正月太り

 

年末年始の長期の休みでゴロゴロしていて「2kg太ったー!]」なんて声を今年も年明けに良く聞きました。しかし、本当に2kg太ってしまったのでしょうか?皆さんの太った痩せたの基準のほとんどは「体重」ではないでしょうか?確かに、自宅で手軽に測定できるという意味でも体重で判断するのが手っ取り早いのは確かです。ただ、1週間ぐらいの短期間で脂肪が増えてしまっているかと言うと話は別です。脂肪1gは9kcalあるのです。この1gの中には水分や脂肪を形成する様々な物質が2割ほど含まれているので実際は約7.2kcalとなり、脂肪1kgを消費するためには7200kcalが必要になります。

つまり、太って脂肪2kgがこの1週間で増えたと考えると、14.400kcal分の脂肪を蓄えるほど余分に食べた計算になります。これは、1日あたり普段より約2000kcal余分に食べた事になります。2000kcalの余分・・・といえば、普段の食事の倍近く食べなければ達成しません。どうです?年末年始は毎日普段の倍ぐらい毎日食べていましたか?そんな方はなかなか居ないのではないでしょうか?

 

では、年末年始で2kg何が増えたのでしょう?もちろん過度の暴飲暴食で脂肪も多少増えていると思いますが、実際は水分などが大きく影響していると思います。年末年始に普段より塩味の強いものや甘いものをたくさん食べることにより、カラダはいつもより水分を多く抱えこんだりします。もちろんお酒を飲む機会が増えるので水分もたくさん摂るでしょう。すると体重は確実に増えます。この浮腫みこそが正月太りの一番多い要因です。だから、休み明けに少し動けば徐々に元の体重に戻るのです。

全て「体重が増えた=脂肪が増えた」とは繋がらないのでご安心下さい。但し、ある程度の期間で体重が増えだしなかなか落ちにくくなった時は脂肪も確実に増え始めているかもしれないのでご注意を!

The following two tabs change content below.
臼井

臼井

スポーツ専門学校在籍中に、㈱ゴールドウィン・スポーツサポートのクロストレーナー養成機関に参加しその後入社。スポーツクラブやスポーツ施設、ホテルなどでトレーニング、エアロビクス、アクアエクササイズ、スイミングの指導を行い、現在はフィットネスアドバイザーとしてトレーニングやエクササイズ、栄養学、サービスなどの指導、教育を行う。 ■フィットネストレーナー ■JNF公認サプリメントアドバイザー ■米国ISNF公認サプリメントアドバイザー ■(社)全日本ノルディックウォーク連盟  ノルディックウォーク公認指導員






コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

ABOUTこの記事をかいた人

臼井

スポーツ専門学校在籍中に、㈱ゴールドウィン・スポーツサポートのクロストレーナー養成機関に参加しその後入社。スポーツクラブやスポーツ施設、ホテルなどでトレーニング、エアロビクス、アクアエクササイズ、スイミングの指導を行い、現在はフィットネスアドバイザーとしてトレーニングやエクササイズ、栄養学、サービスなどの指導、教育を行う。 ■フィットネストレーナー ■JNF公認サプリメントアドバイザー ■米国ISNF公認サプリメントアドバイザー ■(社)全日本ノルディックウォーク連盟  ノルディックウォーク公認指導員