カラダは休んでいる時に作られる-超回復の法則-




最近テレビや雑誌でも取上げられていますが、中高年層の筋トレブームが話題になっています。私の働くジムでも以前より幅広い年齢層の方が筋トレを目的として入会される事が増えています。仕事を引退して時間的にもゆとりがあるので、毎日同じ時間に来館して1~2時間ジムで過ごしている姿は決して珍しいものではありません。

単に健康維持や生活習慣の一部分として適度なトレーニングを行うのであれば毎日でも問題ありません。しかし、割と本格的なボディーメイクやカラダづくりとして、比較的高負荷な重量でトレーニングを行うのであれば、毎日よりも1~2日おき(週2~3回)で行うのが理想です。

これは超回復の法則といって、筋肉は【運動】→【栄養】→【休息】のプロセスが繰り返されることで成長するからです。一日でも早く理想のカラダを手に入れたいからといって、例えば毎日ベンチプレスを行っても急速に大胸筋が成長することはありません。では、トレーニングの効果を最大限に引き出す為にはどのようなスケジュールでトレーニングを行えば良いのでしょうか?

今日はそんなトレーニングの基本ともいえる、【超回復】についてお話ししますので、どうぞ最後までお付合い下さい。

❑超回復とは

 

皆さんは【超回復】という言葉を聞いたことがありますか?超回復とはある一定以上の激しい運動やトレーニングにより筋肉(筋繊維)がダメージを受け、傷つき、それが栄養と休養をとることにより今までよりも強い筋肉に成長し生まれ変わるプロセスの事です。つまり筋肉は、【運動(トレーニング)】→【栄養】→【休養】という超回復のプロセスを繰り返す事で成長していくのです。決してトレーニングだけをしていれば良いという訳ではありません。

・超回復の法則① 運動(トレーニング)

 

まずは、超回復を起こすために一番重要な項目から説明しましょう。

筋肉は日常生活を繰り返しているだけでは差ほど大きなダメージを受ける事はありません。しかし、普段運動などしていない人が突然ランニングをしたり、急な引っ越しの手伝いなどで重たいものを持ったりすると翌日に筋肉痛になったりするのと同じように、筋肉に日常生活で受けている以上の負担がかかると、筋肉はダメージを受け傷つく事になります。これは、筋トレをすることで筋肉に大きな負荷がかかり筋繊維がダメージを受ける事と同じです。

但し、筋トレをすれば必ずしも筋肉がダメージを受けるとは限りません。

超回復を起こすトレーニングとは、ある程度の高負荷または高強度のトレーニングが必要になります。例えば、筋トレを始めたばかりの時は10回しか持ち挙がらない5kgのダンベルを使って肩のトレーニングを行なえば、肩の筋肉に今までにない大きな負担がかかりダメージを受けます。するとダメージを受けた筋肉は、次はこの負荷に負けない様に強くなろうと以前よりも少し太く丈夫な筋肉に生まれ変わります。

しかし、同じ強度のトレーニングを一ヶ月も繰り返し筋肉がこの重さに耐えられる様になればそれ以上に筋肉を成長させるのは難しくなります。それは、筋肉が太く丈夫になる必要がないからです。つまり、筋肉を成長させ続ける為には一定期間ごとに負荷の見直しをし続けなければなりません。10回しか上がらなかったベンチプレスが12回13回と挙がるようになってきたら重量を上げて、また10回しか挙がらない重さに設定を変え筋肉に新たなダメージを与えるのです。これを繰り返す事で筋肉は日々成長していきます。

・超回復の法則② 栄養

では、きちんとしたトレーニングをしていれば理想のカラダを手に入れることが出来るのでしょうか。もちろん全く無駄になってしまう事はありませんが、せっかく頑張ってトレーニングをしているのであれば、少しでも早く結果を出せればそれが一番理想ですよね。その為にも、超回復の原理をしっかり理解して実行するのが重要になります。

超回復の原理その②は【栄養】です。

いくら頑張って筋トレをして筋肉にダメージを与えても、きちんとダメージが修復されなければ筋肉は強く太くなりにくいままです。家を建てる時も材料がなければ家は建ちません。それと同じように、筋肉を強く太く丈夫に作り変えるためにも材料が必要になります。それが【栄養】です。

筋肉の材料として一番欠かせないのが【たんぱく質】。筋肉は様々なアミノ酸によって合成されています。そのアミノ酸が豊富に含まれているのが肉や魚、大豆などに含まれるたんぱく質です。口から摂取したたんぱく質は体内で複数のアミノ酸に分解されてから吸収され、様々なアミノ酸の組み合わせによって筋肉や肌、爪、髪や血液など様々なものに生まれ変わるのです。その為、運動の後にプロテインを飲んでいる方が多いのはこのような理由からと言うことになります。

特に、運動中~運動後や、就寝中はカラダを成長や修復するために必要となる「成長ホルモン」の分泌が盛んになります。その為、運動後30分以内や就寝前にプロテインを飲み、成長ホルモンの分泌が盛んなときに筋肉の材料を与えるとより効果的に筋肉を修復してくれるという訳です。

先ほどの家を建てる例えで言えば、たんぱく質は家の柱や梁といった一番重要な材料といえます。しかし、たんぱく質だけ摂れば良いわけではありません。家には柱だけではなく、屋根や壁がなくてはならないように、筋肉をつくる為にはたんぱく質以外に糖質やビタミンなど他の栄養素も必要です。近年の研究結果でもたんぱく質から筋肉を合成するためには、糖質を一緒に摂ったほうが筋肉の合成が高まりやすいといわれています。

また、運動時は体内で多くの糖が消費されているので枯渇状態になっています。体内の糖質が不足するとそれを補うために筋肉を分解しエネルギーを確保する事にも繋がるので、そのためにも運動後の糖質補給は欠かせません。さらに、筋肉の合成にはビタミンB群も大切な役割があるためマルチビタミンなどでしっかり補給することをお勧めです。

・超回復の法則③ 休養

 

超回復の原理その③は【休養】です。

昔から「寝る子は育つ」ということわざがあるように、身体は寝ているときにつくられ成長します。これは寝ている時に体内から「成長ホルモン」という物質がたくさん分泌されることでカラダの成長や修復を行うと言われているからです。年齢による成長ホルモンの分泌のピークは18歳頃で多くは20歳を過ぎる頃から歳を重ねる毎にどんどん低下していきます。これを考えれば、中学生~高校生にかけて最も身体の変化が著しくなるのも納得出来ます。

もちろん、20歳を過ぎても成長ホルモンは分泌されます。個人差や年齢による差はありますが80歳になっても成長ホルモンは分泌しています。先程の【栄養】のところでも少し触れましたが、運動後や就寝中は成長ホルモンの分泌が盛んになるので、「カラダを使ったら栄養を摂り休める」ことはカラダづくりにとってはとても重要なキーワードなのです。

トレーニングをしてしっかり筋肉にダメージを与えることが出来たとしたら、そのダメージを修復するためには約48~72時間(約2~3日)かかるといわれています。その為、ボディービルダーやアスリートなど本格的にトレーニングを行っているハードトレーニー達は、2日続けて同じ部位のトレーニングは行いません。もし、毎日トレーニングをしているトレーニーでも翌日は別の部位のトレーニングを行うなどして、前日に使った筋肉は休息出来るようなメニューで行っています。

例えば、毎日トレーニングをしたければ、
1日目は【胸・肩・上腕三頭筋】のトレーニングを行い、
2日目は【背中・上腕二頭筋・脚】のトレーニングを行います。
そして3日目にまた【胸・肩・上腕三頭筋】、
4日目に【背中・上腕二頭筋・脚】という二分割で交互にメニューを作れば、
最低限の48時間は同一部位の筋肉を休ませる事が出来ます。
さらに1日目は【胸・肩・上腕三頭筋】、
2日目は【背中・上腕二頭筋】、
3日目は【脚】、というように三分割のメニューを組めばさらに休息時間は長く出来ます。

もし、この休息時間が短いとどんな事が起こるでしょう。トレーニングで傷ついてダメージを受けた筋肉は、しっかりした栄養を摂り材料は確保出来たとしても、修復している途中でまたダメージを受ける事でなかなか筋肉が成長しにくくります。家で例えるなら建てている途中で何度も地震に遭遇し崩れてしまうのと同じでなかなか完成しないとでも言うところでしょうか。つまり、筋肉はトレーニングの最中ではなくしっかりとした休息があってこそ、今より強く大きく成長していくという事を頭の中に入れておいて下さい。

どんなトレーニングでも休養は必要?

 

ジムに通って本格的にトレーニングをしていれば休養も必要かもしれませんが、自宅でトレーニングをしている程度でも48時間の休養は必要なのか?といったご相談をよく受けます。この場合トレーニングの質や強度により変わります。毎日の日課として寝る前に100回の腕立て伏せとスクワットをするぐらいのものであれば、毎日行っても私は構わないと思います。今日まで毎日続けてこられたのであれば、この程度のトレーニングは本人にとっては非常に辛く苦しいものでは無いと思いますし、筋肉にも重大となるほどのダメージは与え切れていないと思うので、毎日行っても大きな差はないと思います。

しかしこれが、毎日100回の腕立て伏せとスクワットを5セットづつ行っているとか、足のポジションや様々な方法で身体にかかる負荷を増大して行っているのであれば休息は必要になるかもしれません。私が思う自重を使ったハードなトレーニングの目安は、回数よりも「ゆっくりとした動きで潰れるまで行う」です。ゆっくりとした腕立て伏せを決めた回数ではなく、もう出来ないと潰れるまで行うくらいのトレーニングを3~5セット行えば自重でも筋肉を肥大させ筋繊維へダメージも与える事が出来ると思うので休息を入れて一日おきでも良いと思います。

但し、通常の腹筋に関しては毎日行っても良いでしょう。腹筋は日常生活で座っていても立っていても常に働いているため休ませる事が出来ません。そのため、余程の負荷を与えるようなトレーニング方法でない限りは、毎日行っても問題はないと思います。

 

また、フルマラソンなどを走った翌日などは、歩くこともままならないほど非常に辛い筋肉痛に襲われる方も多いと思います。そのような場合、確かに休養は必要ですが、そんな時こそあえて歩いたり、ゆっくりとランニングするのも回復方法の一つです。運動により凝り固まった筋肉は非常に血流が悪く、栄養や酸素が身体の隅々まで行き渡らない状態になっているので、あえてウォーキングや軽いジョギングなどを短時間でも行い血液循環を促進してあげると良いでしょう。

もし、ウェイトトレーニングを行ったあとに、何日も筋肉痛が続くようであれば、とりあえずトレーニングを行ってみましょう。もし通常通りにトレーニングを行ってみていつもの重量と回数が出来るようであれば、筋肉痛があってもトレーニングを行って問題ないと思います。また、トレーニングによって血流が促され筋肉痛が和らぐ場合もあります。

❑まとめー3つのポイントー

 

ポイント1.筋肉を今より「強く」「太く」「丈夫」にしたければ、【運動】→【栄養】→【休息】の3つのプロセスである「超回復の法則」を頭に入れトレーニングを行う。

ポイント2.トレーニングは目的にあった回数やセットできちんと行い、その後に「たんぱく質」「糖質」「ビタミンなど」筋肉をつくるために必要な栄養素を十分に摂り、使った部位の筋肉は約48時間~72時間(約2~3日)休ませる。

ポイント3.筋肉はトレーニング中に成長するのではなく休んでいる時に成長していく。

2日や3日トレーニングをしなくても筋肉が落ちてしまうことはありません。1週間に1度必要部位の筋肉をしっかり刺激していれば維持もしくは向上をさせる事は可能です。それよりも過剰なトレーニングが引き起こす筋分解により筋肉の成長を妨げる行為の方が勿体ないと思うので、【運動】→【栄養】→【休息】をしっかり頭に入れ日々トレーニングを行って下さい。

きっと理想のカラダを手に入れる事が出来るはずです。

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臼井

臼井

スポーツ専門学校在籍中に、㈱ゴールドウィン・スポーツサポートのクロストレーナー養成機関に参加しその後入社。スポーツクラブやスポーツ施設、ホテルなどでトレーニング、エアロビクス、アクアエクササイズ、スイミングの指導を行い、現在はフィットネスアドバイザーとしてトレーニングやエクササイズ、栄養学、サービスなどの指導、教育を行う。 ■フィットネストレーナー ■JNF公認サプリメントアドバイザー ■米国ISNF公認サプリメントアドバイザー ■(社)全日本ノルディックウォーク連盟  ノルディックウォーク公認指導員






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スポーツ専門学校在籍中に、㈱ゴールドウィン・スポーツサポートのクロストレーナー養成機関に参加しその後入社。スポーツクラブやスポーツ施設、ホテルなどでトレーニング、エアロビクス、アクアエクササイズ、スイミングの指導を行い、現在はフィットネスアドバイザーとしてトレーニングやエクササイズ、栄養学、サービスなどの指導、教育を行う。 ■フィットネストレーナー ■JNF公認サプリメントアドバイザー ■米国ISNF公認サプリメントアドバイザー ■(社)全日本ノルディックウォーク連盟  ノルディックウォーク公認指導員