前回のブログで「○○×たんぱく質」と題して「筋力アップ」「ダイエット」「美肌」「休息」の4つのお話をさせていただきました。たんぱく質は人間が生きていく上で欠かせない三大栄養素の一つで、前回「筋力アップ」「ダイエット」「美肌」そして「回復」にも必要不可欠という話しをしました。たんぱく質は自身の体重の約30~40%を占めていて身体の機能維持や熱生産、筋肉や皮膚をはじめ、髪や爪、血管、臓器など身体のあらゆる部分に存在し形成しています。そんなに重要な栄養素にもかかわらず、身体に留めておく事が出来ないため毎回の食事から摂取しなければなりません。
一昔前はたんぱく質補給やプロテインといえば、運動をしているアスリートやボディービルダーなど特別な人が心掛けているものでしたが、最近はジムに通っている方や部活を行っている学生はもちろん、意識の高い女性やダイエットをしている方まで老若男女問わず幅広い層の方に浸透してきているのではないでしょうか。
そんなたんぱく質について、今回も「part2」として続きをお話ししたいと思います。
目次
❑たんぱく質×バランス
・アミノ酸とは?
前回のブログの序章で、「基本の「気」たんぱく質とは?」でもお話ししましたが、摂取したたんぱく質がそのままカラダの材料になる訳ではありません。たんぱく質の最小単位はアミノ酸です。たんぱく質は胃や十二指腸を通り消化・分解され、小腸でさらに細かく分解された後にアミノ酸となり体内に吸収されます。そして、吸収された後に再び様々なアミノ酸の組合せにより筋肉や骨、皮膚、臓器など、特定のたんぱく質に合成され身体の一部となります。
人体は数万種類のたんぱく質で構成されていて、その全てのたんぱく質がたった20種類のアミノ酸でつくられています。つまり、カラダを構成するアミノ酸は20種類あり、この20種類が複雑に組合わさってさまざまなタンパク質を作っているという事になります。この20種類のアミノ酸のどれかひとつでも欠けるとたんぱく質の合成が出来ません。つまり人間にはこの20種類のアミノ酸が必要不可欠という事になります。
この20種類のアミノ酸は、11種類の「非必須アミノ酸」と9種類の「必須アミノ酸」の2つに分けられます。「非必須アミノ酸」は必要に応じて体内で合成することが出来ますが、「必須アミノ酸」については体内で十分な合成ができないため毎日の食事から欠かさず摂る必要があります。また、体内で合成できる非必須アミノ酸においても、運動時などの消費の多い状況下では体内での合成が間に合わない事もあるので食事からの積極的な摂取も望ましいといえます。特に「グルタミン」や「アルギニン」はストレスや運動など日々大量に消費される場合が多いことから「準必須アミノ酸」ともいわれています。
【非必須アミノ酸】
アラニン
アルギニン
アスパラギン
セリン
アスパラギン酸
システイン
グルタミン
グリシン
グルタミン酸
プロリン
チロシン
【必須アミノ酸】
トリプトファン
リジン
メチオニン
トレオ二ン
ヒスチジン
フェニルアラニン
バリン
イソロイシン
ロイシン
この20種類のアミノ酸をバランス良く食事で摂取しなくてはなりません。特に「必須アミノ酸」については食事から摂取しない限り体内で増える事が無いのでとても重要となります。食事をする際は、この「必須アミノ酸」が全てバランスよく入っているものをチョイスして食べる事が「良質なたんぱく質の補給」といえます。
アミノ酸のバランスがわかる「アミノ酸スコア」
自らの体内では合成が不十分な9種類の必須アミノ酸は食べ物から摂る必要があります。しかし、それぞれの食品に含まれている必須アミノ酸の割合はその素材や食品ごとに異なります。そこで良質なたんぱく質を見分けるために重要なのが「アミノ酸スコア」です。アミノ酸スコアとはその食品の中に含まれている必須アミノ酸のバランスを数値化したもので、その食品に対し必須アミノ酸が必要量のどれくらいを満たしているかがわかり「100」となるものが最もパーフェクトで良質という事になります。
必須アミノ酸のどれか一つが欠けてしまってもカラダの合成が上手く出来ないので、普段の食事でも色んな食品をバランスよく摂ってアミノ酸スコア100を目指す様に心掛けなくてはいけません。肉や魚(甲殻類や貝類は除く)、卵、大豆などの多くはアミノ酸スコア100を満たしていますが、穀物や野菜などはスコアが低く必須アミノ酸が不足しているので、アミノ酸スコアの高い他の食品を同時に摂ってカバーする必要があります。
・アミノ酸スコアの一例
大豆・・・100
牛・豚・鶏肉・・・100
魚類・・・100(甲殻類や貝類は除く)
卵・・・100
牛乳・・・100
白米・・・93
小麦・・・44
トマト・・・85
玉ねぎ・・・66
例えば、朝食がご飯や食パンだけだとアミノ酸スコアは100以下ですが、卵焼きをプラスすれば不足分を補う事が出来ます。さらに納豆やベーコンなど複数の食品を組み合わせればアミノ酸スコアはもちろん、それ以外の栄養価もバランスよく摂ることが出来るという訳です。
また、プロテインはアミノ酸スコア100のパーフェクトな食品で、身体づくりに必要なアミノ酸を効率よく摂る事が出来ます。だからこそ、筋肉が大好きなボディービルダーや多くのスポーツ選手、フィットネス愛好家がプロテインをこぞって利用している理由はここにあるとも言えます。
たんぱく質×老化予防
年を重ねるごとに肌にシミやシワが増えて老化するように筋肉も衰えていきます。一生のうちで筋肉が最も多いのは20歳前後です。この年代では成長ホルモンなどの分泌も一生のうちで最も活発で筋肉や骨は成長し続けます。また、学校生活でも授業や部活として継続的運動を行ったり、通学をはじめ遊びに出かけたりするなど外出する機会も多いので、特に意識的に運動をしていなくても筋肉は常に刺激され、大きく強くなっていく要因が通常の生活の中にたくさんあります。しかし、普通の生活を続けていても20~30代を境に筋肉量は年齢と共に徐々に低下していきます。これは単純に運動する機会や動く機会が減ってくるためだけではなく、身体の老化という自然現象とも言われています。
- 30歳~50歳・・・年0.5~0.7% (20歳を100としたら50歳では80)
- 50歳~80際・・・年1.0~2.0% (20歳を100としたら80歳では50)
この筋肉の減少を抑える方法の一つは筋肉を使う事です、つまり、スポーツ選手に限らず筋トレをする事はとても重要なのです。健康な人でも、1日ゴロ寝生活をして過ごしていると、1日約0.1%の筋肉が減ると言われています。一週間毎日家でゴロゴロしていると・・・計算するだけでも怖いですよね。だからこそ、いつまでも元気に自分の足で歩く生活を続けたいのであれば、筋トレは必要不可欠という事になります。筋肉に関しては、例え80歳から行っても確実に増えていきます。中高年の方も今からでも遅くありません。もちろん、落ちてきてから始めるよりその前に始める方が良いことは間違いありません。歳を重ねてもパワフルでいたいと思うのであれば若いうちから続けることです。
そして、筋肉の減少を抑える方法のもう一つは、毎食たんぱく質をしっかり摂取することです。どうしても歳を重ねると共に食生活も変わっていきます。10代や20代の頃は毎日お肉を食べても飽きることなくいくらでも食べることが出来ましたが、徐々にその量も減り50歳を過ぎたあたりからお肉はあまり口にしなくなってくる方も多いようです。あの、瀬戸内寂聴氏は97歳になった現在でも毎日お肉を食べているという話を聞いたことがあります。お肉はご存じの通りたんぱく質が豊富です。何歳になってもたんぱく質をしっかり摂取する事はとても重要で、それは身体の材料をしっかり摂り入れられるという証しだからです。
たんぱく質は身体に溜めておくことが出来ません。たんぱく質が不足してくると今ある筋肉を維持する材料が足りなくなってくるので、筋肉は徐々に分解され細く痩せてきます。これも立派な筋肉が落ちる原因です。それを防ぐためにも、毎回の食事でしっかりとたんぱく質の補給を心掛けなくてはなりません。これは、ダイエット中の食生活にも共通する話なのでよく覚えておいて下さい。もちろん、たんぱく質の摂取は肉に限らず魚や大豆でも構わないのですが、手軽に効率よくたんぱく質が補給出来るのはお肉が最強だと思います。
重要なので再度チェック! ≪基礎代謝の減少=太る原因≫
前回もお話ししましたが、身体の中で一番エネルギーを消費する場所それも筋肉です。つまり、筋肉が落ちてくるという事は、身体の中のエネルギー消費量が落ちてくるという事です。エネルギー消費量が落ちてくると、使い切れなかったエネルギーは身体に溜め込まれていきます。つまり、これが年齢と共に太りやすくなる原因にもなる訳です。一般的な「太る」原因はただ一つで、摂取したエネルギーの量よりも消費するエネルギーが少なくなる事で起こってくる現象です。そこで、おすすめなのがやはり筋力トレーニングなのです。筋トレを行って基礎代謝をあげることが「太りにくい身体づくりの基本」です。
身体は体温の維持や心臓や肺を動かすなど寝ている時も常にエネルギーを消費しています。じっと動かず過ごしていても生きているだけで消費する最低限のエネルギーの事を「基礎代謝」といいます。基礎代謝は人間が一日に消費するエネルギーのおよそ60~70%を占めています。そして、基礎代謝の中でも20~30%を占めるのが筋肉での消費量なので、加齢で筋肉量が減るとこの部分の消費カロリーも落ちてしまいます。つまり、筋力トレーニングなどで筋肉を減らさなければ消費カロリーも落ちることはなく、さらには筋力もアップし健康で元気な毎日を送る事ができます
トレーニングといってもジムに行く事だけではなく、自宅で出来る簡単なトレーニングでも構いません。自重をつかったスクワットでも大きな効果があります。週に2~3回、1日10~15分でも効果はあります。肝心なのは継続する事です。その為には、最初から無理はしないで日々出来る事からチャレンジする事です。少しでも効果が目で見えてくれば、自然と続けようと思うものです。ぜひ、今日から始めてみましょう。
たんぱく質×疲労回復
肉類などのたんぱく質には疲労回復を促す働きがある事をご存じですか。そういえば、運動や仕事を頑張ったご褒美や、明日は頑張らないと!と思う日はなぜか「焼肉を食べよう!」と思う事が多いのは自然な事なのでしょうか?肉類などのたんぱく質に含まれるアミノ酸の中に「BCAA」というものがあります。BCAAとは必須アミノ酸である【バリン】【ロイシン】【イソロイシン】の総称で、この3つは【分離鎖アミノ酸】といい【Branched Chain Amino Acids】の略称から【BCAA】と呼ばれています。このBCAAは筋肉を構成するたんぱく質に含まれる必須アミノ酸の約35%を占め、カラダづくりや筋肉のエネルギー代謝など運動に深く関わっています。また、筋疲労を回復させる作用があり、肉体の疲れを解消する効果があります。
BCAAの中でも「ロイシン」は特に筋肉の合成に重要な関わりがあるアミノ酸で、近年スポーツサプリメント業界に彗星のごとく現れ爆発的に売上を伸ばした「HMB」もこのロイシンの代謝物質です。また、トリプトファンはセロトニンなど神経伝達物質の材料となり、脳内疲労を軽減する働きがあります。他にもグルタミンやアルギニンなど身体づくりや免疫力をアップさせるアミノ酸も豊富に含まれています。冒頭のバランスの章でもお話ししましたが、食物のたんぱく質には様々なアミノ酸が含まれていて、そのアミノ酸の一つひとつに様々な効果が秘められています。つまり、複数のアミノ酸が一度に摂れるたんぱく質は身体づくりの素であり、疲労回復に欠かせない栄養素です。
糖質などの甘いものは一時的な疲労回復には効果的ですが、場合によっては血糖値が一気に上がってしまう事で、それを抑えるためにインスリンが分泌され今度は一気に血糖値が下がってしまうおそれがあります。つまり、疲労回復を糖質摂取に頼りすぎてしまうと、血糖値スパイクが起こりさらなる疲れや怠さを引き起こす事になりかねません。もちろん運動後の筋合成は糖質を一緒に摂ることでより効果的に促進するといわれているので必要ではありますが、過剰な糖質摂取は控えた方が良さそうです。
たんぱく質×子供の成長
成長期のお子さんにもたんぱく質は必要です。子供の成長に欠かせない栄養素といえば、真っ先に思い浮かぶのが「カルシウム」です。カルシウムは骨を形成する重要な栄養素だという事は皆さんもご存じだと思いますが、子供の身体の成長にはたんぱく質も欠かせないとても重要な栄養素です。
例えば、身長を伸ばすカギとなる骨の成長にはカルシウムも必要ですがたんぱく質も重要な栄養成分になります。骨の主成分はカルシウムですが他にもコラーゲンなどたんぱく質も多く存在しています。その為、カルシウム以外にたんぱく質やビタミンも成長に欠かせない重要な栄養素になります。また、たんぱく質は筋肉、皮膚、髪や臓器はもちろん血液やホルモンなどカラダづくりに欠かせない栄養素です。特に激しい運動をしているお子さんの場合は十分な摂取が必要です。
お子さんのカラダが成長する為には【運動】【栄養】【睡眠】の三要素が重要です
・【運動】成長期のお子さんには適度な運動が必要です。
余談ですが、以前お子さんの身長について専門家の方にお話を伺った時の内容です。骨に対して上下から縦方向に刺激を与えると骨の先端部分が刺激され、細胞分裂が活発になる事で身長が伸びやすくなる可能性があるそうです。但し、これについては遺伝やその他の要因もあると思うので確実とは言えませんが、どちらにしても成長期に色んな運動にチャレンジする事がカラダづくりには重要との事でした。
・【栄養】「たんぱく質」「脂質」「炭水化物(糖質)」「ビタミン」「ミネラル」など、毎食バランスの良い食生活を心がけ、不足しているところはサプリメントなどで補給してあげるのも良いでしょう。また、激しい運動時にはエネルギーの消費量も多いので、消費したエネルギーはしっかり補給して下さい。筋肉の合成にはたんぱく質の補給と同時に炭水化物(糖質)の補給も重要です。
・【睡眠】「寝る子は育つ」と言いますが、寝ている時に身体づくりに重要な「成長ホルモン」が大量に分泌されます。特に成長ホルモンの分泌が盛んになるのが入眠時からの約2時間とその後1時間半ごとにやってくる深い眠りのノンレム睡眠時です。十分な睡眠はカラダを成長させ翌日に疲れを持ち越さない為の鍵にもなるのでぐっすり眠れる睡眠環境も重要です。
臼井
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