糖質制限と筋トレの関係




ここ最近のダイエットにおいてのキーワードと言えば「糖質制限」ではないでしょうか?食べ物はもちろんですが、ビールや発泡酒などの酒類においても「糖質オフ」の文字が若い女性やヘルシー志向の方々の購買意欲を掻き立てているようです。

糖質制限ダイエットとはご飯やパン、麺類などの主食はもちろん、デザートや果物から日本酒やビールなどのアルコールまで糖質が多い食物は出来るだけ食べないようにする。その代り、たんぱく質はしっかり摂るというのが基本になるダイエット方法です。

 

しかし、本当に糖質はダイエットの敵なのでしょうか?糖質を控えれば本当に痩せるのでしょうか?そもそも糖質とは何か皆さんは本当に知っていますか?「たんぱく質」「脂質」と並ぶ三大栄養素の「炭水化物(糖質)」なのにそれをカットするのが本当に良いのでしょうか?

糖質制限のダイエットを行う前にもう一度糖質について一緒に考えてみましょう。そして本当に糖質制限が本当に必要なのか今一度考えてみませんか。

 

目次

❑糖質って何?

 

糖質制限の話をする前に、まずは「糖質」とは何かを少し話しましょう。

まず、人間が生きていくために必要とされる三大栄養素は「たんぱく質」「脂質」「炭水化物」です。一日に必要なエネルギーの半分以上はこの炭水化物からまかなわれています。

糖質とは、この三大栄養素の中の炭水化物を構成する成分で、炭水化物から消化吸収をされない食物繊維を除いたものをいいます。

 

ご飯やパン、麺類などの主成分であるでんぷんや砂糖、果物に含まれる果糖などがあります。主に糖質は即効性のあるエネルギー源として必要不可欠な栄養素です。摂取した糖質は体内に吸収された後、まず血液中の糖質からエネルギーとして使われていきます。その後、血液中の糖質が少なくなると次に肝臓や筋肉中にグリコーゲンという形で蓄えられていたものが分解されエネルギーとなります。糖質の最小単位であるブドウ糖は脳の唯一のエネルギーなので、不足すると思考能力が低下し集中力が欠け、やる気が出なかったりイライラしたりするのです。

・糖質豆知識

糖質は「単糖類」「少糖類」「多糖類」に大別されます。「単糖類」は糖質の最小単位であり最も吸収が早いのが特徴です。ブドウ糖はこの単糖類になります。単糖が2~10個繋がったものを「少糖類」と呼び、オリゴ糖や砂糖、麦芽糖などがここに含まれます。単糖が10個以上繋がったものが「多糖類」と呼び、穀類、イモ類、豆類などに多く含まれるデンプンはここに分類されます。「単糖類」が最もカラダに吸収される時間が短く、すぐエネルギーに変換されます。一方、「多糖類」のように分子が大きくなるほど吸収スピードが遅く、持続的なエネルギーとなります。

❑糖質制限ダイエットとは?

 

では、ここ数年巷で注目を浴びている糖質制限ダイエットとはどの様なものでしょう。

簡単に言ってしまえば、太る原因といわれているご飯やパン、麺類や芋など糖質の多い食材は極力食べないようにするダイエット方法です。糖質を制限する事で、食べ物から摂取するエネルギーが少なくなる事により、身体に蓄積された中性脂肪がエネルギーとして利用されやすくなる事により脂肪が減少するのです。さらに、食事の際に糖質を減らす事で、血糖値の上昇を抑えることが出来ます。食事で血糖値が上昇するとそれを抑えようと「インスリン」というホルモンが分泌されます。インスリンが分泌されると上昇した血糖値が下げられるのと同時に「血中の糖を脂肪細胞に取り込め!」という指令が出されるため結果として身体に脂肪がつきやすくなるのです。つまり、糖質の摂取を控えればインスリンの分泌も抑える事が出来るので、糖が脂肪細胞に取り込まれにくくなるのです。

 

ここまで聞くと何かイイ事ずくめの感じがしますが、当然デメリットも存在します。何といっても「炭水化物」はカラダづくりに欠かせないとても重要な三大栄養素といっておきながら、その栄養素を減らす訳ですからどんな事が起こるのでしょう?

 

❑糖質制限による筋肉の減少

 

私のところに相談に来る方の中に、カラダをバルクアップして大きくしたい目的で筋トレをしているけれど、脂肪はつけたくないから糖質は出来る限りカットしているという方がいらっしゃいます。確かに糖質をカットすれば痩せていくかもしれませんが、同時に筋肉も落ちている可能性があるという事をご存じですか。

 

トレーニングや運動をする際に最も速やかに効率よくエネルギーとして働いてくれる栄養素それが「糖質」です。食事などで摂取した糖質は体内で分解され一定量が血液中の糖つまり血糖となり、それ以外は筋肉や肝臓でグリコーゲンとして貯蔵されます。しかし、残念な事に筋肉や肝臓にグリコーゲンを蓄えておける貯蔵庫は非常に小さく、少し激しい運動が続けばすぐに不足してしまいます。

 

日頃、過度な糖質制限を行っていたり、トレーニング前のエネルギー補給を怠ったりすると、運動中にエネルギー不足が起こります。身体を動かせば当然エネルギーを消費する。しかし、カラダのタンクに即効性となるエネルギーが足りない。するとカラダは、不足したエネルギーを補おうと体内のたんぱく質、つまり筋肉を分解してエネルギーを生産します。せっかく筋肉を大きくしようとハードなトレーニングを行っているのに、その傍から筋肉は分解されエネルギーとして使われてしまっていたのでは本末転倒だと思いませんか?

 

カラダを絞る目的の筋トレであっても、「カラダを大きくしたい」「筋肉を落としたくない」というトレーニングの前はしっかりと糖質を補給すべきなのです。特に、運動前に摂取した糖質は運動のエネルギーとして容易に消費されてしまうので、それが脂肪にかわる事はありません。もちろん、運動後の回復にも糖質は有効です。

❑筋トレにおける糖質摂取のタイミング

 

炭水化物は太ると言われていますが、太るのは炭水化物だけのせいではなくカロリーの収支、つまり【摂取エネルギー>消費エネルギー】となっているから太るのです。ここの収支をきちんと守っていれば、炭水化物が太る主な原因とはいえません。

 

私の知人のボディービルダーもとにかく筋肉を大きくしたい時期には、たんぱく質と共に大量の炭水化物も摂取しています。特にトレーニング前は山盛りのご飯やパンをしっかり食べています。ボディービルダーとまでは言わなくても、筋肉を大きくバルクアップしたいとトレーニングに励んでいるのであれば、運動前~運動中は水分補給と共にこまめな糖質補給を心掛ける事が重要です。炭水化物には激しいトレーニング時のエネルギーになりやすい糖質がしっかり入っています。先ほども言いましたが、運動前に摂取した糖質は容易にエネルギーとして消費されていくので、これからしっかりトレーニングをしようと思っている場合であればなおさら積極的に糖質補給をして下さい。さらに、運動後の疲労回復の為にもプロテイン補給と同時に糖質の摂取を忘れないようにしましょう。

 

もし、日々の生活で糖質カットを取り入れるのであれば、摂取後に動くことの少ない夕食時に行うと良いでしょう。しかし、これから活動をする前の朝食や昼食に関しては、糖質をカットするのではなくいつもより少し減らす程度で良いと思います。

あくまでも【糖質制限】は読んで字のごとく制限なのです。全く摂らないという事ではありません。

 

運動後の糖質補給に関連する過去の記事です。興味のある方はぜひお読みください。
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トレーニングや運動後に糖質を摂るべき理由とおすすめのプロテインは?

 

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臼井

臼井

スポーツ専門学校在籍中に、㈱ゴールドウィン・スポーツサポートのクロストレーナー養成機関に参加しその後入社。スポーツクラブやスポーツ施設、ホテルなどでトレーニング、エアロビクス、アクアエクササイズ、スイミングの指導を行い、現在はフィットネスアドバイザーとしてトレーニングやエクササイズ、栄養学、サービスなどの指導、教育を行う。 ■フィットネストレーナー ■JNF公認サプリメントアドバイザー ■米国ISNF公認サプリメントアドバイザー ■(社)全日本ノルディックウォーク連盟  ノルディックウォーク公認指導員






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臼井

スポーツ専門学校在籍中に、㈱ゴールドウィン・スポーツサポートのクロストレーナー養成機関に参加しその後入社。スポーツクラブやスポーツ施設、ホテルなどでトレーニング、エアロビクス、アクアエクササイズ、スイミングの指導を行い、現在はフィットネスアドバイザーとしてトレーニングやエクササイズ、栄養学、サービスなどの指導、教育を行う。 ■フィットネストレーナー ■JNF公認サプリメントアドバイザー ■米国ISNF公認サプリメントアドバイザー ■(社)全日本ノルディックウォーク連盟  ノルディックウォーク公認指導員